沖縄の紅芋既存品種として生食用では『備瀬』と『宮農36号』が、加工用としては『V4』が主に栽培されてきました。
『備瀬』は昭和59年頃から注目されて県内収集が開始され、昭和62年以降奨励品種(候補)となり、読谷を中心に県内全域に普及していきました。食味がよく収量も多く、立枯病にも強いという特徴をもっていますが、反面、色乗り(色素発現)と形状が不安定という弱点があります。
『宮農36号』は甘味があり美味ではありますが、センチュウ(害虫)により表面が傷つけられやすく立枯病に弱いという欠点があり、また収量もやや少ない。
『V4』は加工用品種であるから美味ではないが、肉色は濃紫で色乗りが安定しており、収量も多く立枯病にも強い。
『沖夢紫』はこの様な状況の中で求められていた理想の品種です。『沖夢紫』の育成過程は、平成8年に種子採取、実生養成により、『備瀬』×『V4』を交雑させることから始まりました。
平成9年から数年間、苗の二次、三次選抜と導入選抜試験や現地実証試験をくり返し、平成14年10月にすべての試験を終了し新品種(奨励品種)として完成しました。
『沖夢紫』の特徴は食味が甘く良好であり、肉質は粘性で生食用に適しています。形状は長紡錘形で細長く整っている。色乗りも安定しており、皮・肉ともに紫色である。
立枯病に抵抗性があり生育もよく収量もやや多い。ただし寒さだけには少し弱いことが欠点ですが、4月から9月までの植え付け時期を活用すれば、むしろ亜熱帯沖縄での栽培に向いています。
『備瀬』も『宮農36号』も『V4』もそれぞれ秀れた特色をもっていますが、『沖夢紫』はこれまでの沖縄における紅芋栽培市場各品種の良さと南西諸島の風土を最も巧みに取り入れた画期的新品種です。
※『V4』を『紅ヒカリ』と呼びならわしている地域もあります。
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